2014年1月10日金曜日

映画 永遠の0 と その原作

映画「永遠の0」を鑑賞してきました。
 
ふた昔前の邦画空撮映画しか知らない世代として
いまの特撮はすごいと思いました。
CGを使えば どんなものでも表現できることを改めて知り
特に
ミッドウェー海戦における空母赤城の再現には
思わず 身を乗り出すほどのものでした。
 
内容も戦闘シーンは少なく
歴史背景もかなり省略はされていましたが、
おおきな脚色もなく 淡々とした流れの中
現代社会と戦時中がストロボのように交互に写され
主人公 宮部久蔵の人間像が 次第に紐解かれていく
良い映画でした。
 
当然、原作を読みたくなります。
理由は
作者のデビュー作だということ
また ミリオンセラーであるということ 
920円の文庫本であるとういうこと
当然 「買い」です。
 
 
 
 
完読です。
読み易く 分かり易く
歴史的背景に妙な脚色も主張も少なく 淡々と語る元航空兵たち
くどいのですが、くどさを感じません。
 
映画とは少し違いますが、 
原作には
より 細かく 映画には無い当時の史実に基づいた逸話が登場します。
痒いところに手がとどくように 専門用語にも説明があります。
現代社会の若者に対して語るわけですから 上手いストーリー設定です。
流れるような回想の語りは
情景が目に浮かぶような文体でした
つまり
あっ という間に読み終えることができます。
 
当時大本営の愚かさや 悲惨さ…
そして不条理さも テンポ良く展開していきます。
より、深く 主人公 高潔な宮部の人物像が描かれ
この主人公の存在が 深く読み入る大きな要素だと思います。
その物語は あまりにも切なさを感じます
 
 
 
原作の読後 映画を観たら 物足りなさを感じるかも知れません。 
でも
邦画にありがちな 主張や思想感を前面に出していないので
お涙頂戴的な仕上がりでなく
とても 良かったと思います。
 
  
忠実に原作を映像にすれば 色々と問題は出てくるでしょうし、
若い人も含め 様々な人に観て貰うためには
当然、省かないといけないところもあるでしょうし…
第一 シネマでは時間が足りないでしょう。
 
 
「永遠の0」 おそらく 原作を読んでる人たちは多いかも知れませんが、
 
映画を観たなら 原作を読むべきだし
原作を読んだなら 映画鑑賞もありだし
  
 
原作を読んで思いました…
 
「日本軍がもう一押ししてきたなら こちらがやられていたことが度々あったにも関わらず 日本海軍は弱腰に反転回避する」 という アメリカの指揮官 ウィリアム ハルーゼの戦後回想エピソードが紹介されていました。
  小説の回想シーンの中でその理由について淡々と語られるシーンがあります。
 当時の日本軍部では戦績の競争査定があり 輸送船やドッグ石油施設などを叩いても ポイントにならなかったという点。 司令塔は実践ゼロで海戦経験の無い海軍学校出の将校たちの権力社会であったこと。 自らが危険にさらされない場合であれば下士官以下を無謀な作戦に送り出し致命的なミスをおかしても 出世していくという不条理。 陸戦では高級参謀による時代錯誤もはなはだしい無謀を超え いい加減な作戦。 戦艦大和が大和ホテルと前線兵からささやかれていたこと。など様々なエピソードが語られていきます。
 戦争に負けた訳ですから このような 愚策や惰点だけがエピソードとして取り上げられるのは当然なのかもしれませんし 階級統率が不可欠の戦争なので仕方ないのでしょう。
 だとしても 表現し難い不条理感を禁じえませんでした。同時に 大局を忘れ 自分さえ良ければいいとう構造は現代でも通じるような気がします。
 
  確かにこの小説はフィクションですが、戦後、他国の分析や資料に基づいた膨大な資料における史実の中からチョイスされたエピソードが これでもか これでもか と 登場します。
 
 また
ゼロ戦も主人公のひとつなのですが、ゼロ戦という素晴らしい飛行機が 無理な要求に対し設計者の努力よって誕生したことや パイロットもゼロ戦の一部となることが いかに残酷でいかに過酷であるのかが この小説の中で語られます。 戦後行われた グラマンのパイロットと ゼロ戦のパイロットの交流会のシーンで お互いが 賞賛し合うシーンもあります。 アメリカのグラマンF4F電撃隊は 当時ゼロ戦の恐怖の中 全滅覚悟で挑んでいることも 欧州戦における爆撃隊B-17の帰還率なども興味深いものでした。
 
面白いもので この小説の中には アメリカと日本の戦い方の違いが良く描かれています。
 
私は戦争を知らない世代です。また 知っていても映画や小説でのワンフレーズと表面的な史実しか知りません。 真珠湾 ミッドウェー サンゴ海 ガダルカナル フィリピン レイテ沖 マリアナ サイパン 沖縄 など 時系列に原作では逸話が語られます。とても分かり易く この手の戦争小説苦手な人でも大丈夫な一冊だと思います。
 
それにしても 主人公である 宮部久蔵さん こんな人が居るのでしょうか…もちろん、小説の架空の人ですよね

 でも
もしかしたら…
 

 
 
 
 
 
 
 

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