2015年3月2日月曜日

Fディスクローター交換…記録として ローター歪の影響



今回は 以前から悩んでいたフロントブレーキローターを
ようやく 交換したので 記録として ここに記したいと思います。

15年経過している
おそらく 12Rにとって初めてのフロントブレーキローター交換となります。



交換理由は歪です…。
マイクロメータでローターの厚みを計測…4.6mmでした。
max5mm minimum4.5mm
フロントブレーキのおかしな現象に最初は原因が分からず…

制動時、日に日に遊びが増えるブレーキレバー 最後はグリップに接触するほど
一時的には解消されても 走行すれば ブレーキレバーの遊び幅が増す
シール等を交換し キャリパー内のピストンの動きが良くなるほどレバーの遊び幅が増す
Fブレーキレバーを引く度 周期の長いABSのように カクカクとFフォークが暴れるようになる。

今までは 騙し騙しなんとかしていましたが、
信号等の停止などの低速時、狙った位置に完全停止が出来ないという事態にまで悪化
流石に我慢出来無くなりました…。

走行距離78500km…交換作業は1月下旬 夜間のみ

同時に ダストシール オイルシール   一部交換
マスターシリンダーの カップ スプリング  一式交換
キャリパーピストンは現状のまま使用します。 
(ピストンは全部で左右12個 一個当たりの単価2500~2900円位)

 ピストン交換する位なら 追い銭し 社外のキャリパー交換した方が良いでしょうし、
また これは個人的な理由ですが 出来得る限り12Rをオリジナルのままに保ちたい
という気持ちもありました。
現行ブレーキキャリパーはTOKIKOです。

何年か前、ブレーキキャリパーの ダスト オイルシール等の交換時 様々方法を試し
ピストンの動きを かなり探究したことがあるので
今回は 時間を掛け 独りで作業することを決意しました。
(何度も何度も この作業における順序やら 起こり得る不測の事態の対処等を
頭の中 もしくは 紙に書いて シュミレーションします。)


ネット等で調べると キャリパーを割る方法が殆どですが、
割らずとも ピストンは 寸法的に外せるので、割らずに行います。
作業は仕事があるので夜間に限られます。
まず、キャリパーを取り外します。
まだ、ホースは繋いだままにしておきます。
次にパッドを取り出し レバーを引き しっかりと目視で
動きの悪い謀反児ピストンをマークします。

ピストンバイスプライヤーだけで 引き出せるほど謀反児ピストンは甘くないです。

古いブレーキバッドを一枚だけ キャリパーの内片側に入れ 
反対側の三つのピストンのうち 
予め用意した2個の角材をキャリパー内に鋏み
一つだけピストンを遊ばせた状態で
レバーを引いて押し出せるようにします。
このようにすれば 事前にマークした動きの悪いピストンは
集中的に揉み出しが出来ます。



押し入れる時はピストンプライヤーでグリグリと回転させ 押し出す時はレバーを引く
 ダストシールもオイルシールもパーツを取り寄せているので遠慮は不要です。
とにかく 少しでもスムーズにピストンが動くようにします。
この作業を謀反児ピストンに対して順番に行います。
ブレーキホースを外す前に こうすれば 後の作業が楽です。 
頑固な謀反児ピストンには少し前に出て整列してもらいます。
(この時、キャリパー内にピストンプライヤーが入る隙間を必ず確保しておく)

ホースからキャリパーを外し、
ピストンバイスプライヤーで ピストンをグリグリと引き抜いていきます。
ついでに マスターシリンダーも外し、
Fブレーキホースのみバイクに残っている状態にします。
Fブレーキホースの両端には小さなビニール袋を輪ゴムで取り付けておきます。
( 後々面倒なことになるので垂れて汚れないように
 研磨剤の入ったクリーナーでキャリパーから外したピストンを磨き上げます。

磨いたピストンは 研磨剤が表面に付着したままでは良くないので中性洗剤で水洗いし
 シリコングリスを極力薄く塗布します。
個人的にはシリコングリスの塗布は無くても構わないと思っていますが、
余ったシリコングリスがあったので使いました。
…。

キャリパー側のオイルシールを取り外し交換します
(取り外しは どうせ新品に交換するのですから 爪楊枝で
オイルシールを抜きます 後は廃棄です。
その後 割っていないキャリパーの隙間から指を入れオイルシールを入れるのですが
この作業は結構コツを要します。爪楊枝の尻側なんかでシールの一点部分を抑え 
指でなぞって入れます。指の感触でカッチリとハマったことが分かります)
今回 試験的にダストシールやオイルシールは現行のまま使用する箇所もあります。

オイル漏れの可能性はあるかも知れませんが その時は交換するという前提です。
(私の場合 いつでも交換出来るという自信があるのですが、
本来なら全部交換した方が良いと思います)

問題はオイルシールであって ダストシールなどは 外み出てない限り
どうでも良いと思っています。
そもそも キャリパーのピストンはローターに圧力を加えるため 
ちょっぴり動いてくれれば 事足りるわけです。
必要以上にスムーズな作動幅が増えても何の意味もありません。
今まで
歪んだローターによって ピストンは必要以上に押し戻され
制動時は大きな幅で押し出されることを強いられていた訳ですから
レバーの引き幅が大きくなるのも当たり前であり
聞き分けの無いピストンが出現するのも当然といえば当然だし、
むしろ、この聞き分けの無いピストンこそが、正常作動なのかも知れない
と思ったほどです。

オイルシールはキャリパーによっては テーパー状になっている個体もあるのですが
幸い このキャリパーのオイルシールは等円筒でした。 

ついでに マスターシリンダーのカップスプリングを交換
(スナップリングワッシャーを外すプライヤーは先が長い良いツールをお勧めします。)

そもそも この12個のピストンをレバーを引くと同時に整列させるなど
不可能だということは 以前 シール類を交換した時 嫌というほど思い知りました。

一通り ピストンをキャリパーにセットしたら 
今度は 本丸ディスクローターの交換作業です。
新品ディスクローターはサンスターというメーカー製品ですが、
意外に これは純正より しっかりした作りに感じます。



ま、15年目にして初めて ディスクローターを外す訳ですから
ローターの取り付けボルトが固いことを覚悟します。
当然、ねじロック剤が効いているはずです。

6mm六角を 長めのラチェットにセットし グイッと力を掛けます

左右で計10本のボルトを外していきます ねじロック剤が良く効いています。
ディスクローターとホィールの間に緩衝シートみたいな物があるのですが、
とても 綺麗で ホィール側も腐食ひとつありませんでした。

現行のボルトにねじロック剤を塗布し 
新品ローター(サンスター製)を装着していきます。
この時 普段滅多にお世話にならない トルクレンチを使用します。
(だいたい 30Nm(3kg f m)

当たり前のことですが、ボルトの締め付け順番は対角線順ですね。
ちなみに この取り付けボルトは社外品が販売されているようですが、
交換するなら 純正品だと決めています。



カップスプリング一式新品状態の マスターシリンダーをブレーキホースにつなぎ
ステアリングに装着し ブレーキスイッチ レバーを取り付けます。

オーバーホールしたキャリパーにもブレーキホースにつなぎます。
この時 クラッシュワッシャー(バンジョーワッシャー)も交換

マスターシリンダーにブレーキフリュードを満たします
この時マスターシリンダー周辺を良く養生します…
フリュードは水に溶ける分
非常に吸湿性があり、塗装を痛めます。

丸1日ほどブレーキホースだけの状態で放置していたので
ホース内のフリュードは完全に抜け切っています。

マスターシリンダーの圧だけでは到底 ブレーキフリュードをキャリパーに
送り込むことは出来ません。
私は コンプレッサーもバキュームフリューダーも所有していません。
注射器でぇー? これは 却下ですね 無理です。

ピストンバイスプライヤーで 片側キャリパーの
6個のピストンを少しずつ引き上げ 
マスターシリンダーのフリュードを
バキュームします 
ホース内をフリュードで満たすことが目的ですが、
キャリパー内にもフリュードは流れ込んでいます。
(マスターシリンダー内フリュードの残量を確認
あとで ピストンを押して戻すので 足す場合は
溢れることがないよう加減を考える事)

その後 キャリパーのブリーダーボルトを緩め
引き上げた ピストンをユックリ押し下げていきます。
ブリーダー口の位置を上にしキャリパー下側のピストンから押し下げ
キャリパー内のエアーを逃がします
(指で押し下げるのがキツイのであれば 角材を隙間に入れて押し下げます)
この段階でキャリパー内はフリュードで 大方 満たされています。
(この時 透明のシリコンチューブをブリーダーボルトの口に はめ込み 
フリュードが飛び散らないようにすると周辺も汚れることはありません。)

左右のキャリパーで同じ作業を行い ブリーダーボルトを締めます。

新しいディスクローターを取り付けた フォイールをFフォークにセットします。
この時 アクスルシャフトは完全に締め込まず
クランプボルト(フロントフォーク下部の二本のボルド)も緩めたままにしておきます。
キャリパーのセンターにローターが位置するようにします。
この時
アクスルシャフト全体にグリスを塗り 
少しでもスムーズに横にスライドするようにしておきます

新品パッドをセットした キャリパーをフロントフォークに取り付け
軽く フロントフォイールを回します
フロントブレーキレバーを軽く引き フォイールを止めます
フォイールを回して 軽くブレーキレバーを引き 何度がこの作業をします。
片側6個もピストンがあるので 少しずつピストン頭を揃えていきます。
最終的にはレバーをしっかり引き カチッと止まるまで行います。
(この時も マスターシリンダーのフリュードの残量を確認
足した方が良いでしょう)

ちゃんと キャリパーセンターに ロータが位置しているのか確認します。
センター出しなどしなくても 普通はセンターに来るようになってるのですが、
カワサキ車なので…

リアのアクスルシャフトはトルクレンチの使用はせず かなり強く締め込んでいますが、
フロントのアクスルシャフトの締め込みには トルクレンチを使用します。

力の限り締め込んでも 鋼鉄に囲まれたインナーベアリングに影響はないだろうし
ねじ山を潰すことも よほどの怪力で無い限り不可能だと思います。
でも
フロントサスペーションの動きに影響が出る可能性はあるかも知れないので
決まったトルク値で締め込んでやるのがベストですね。
大体ですが締め付けトルクは 80から85N./,m(8〜8.5kg f)としました。
(規定より少し低いかもしれませんが 少し走ってマシ締めする予定なので)
 kgの場合は1に対して9.8N.mですね
この時も キャリパーセンターにローターが位置しているか
目視で確認しながら 徐々に締め込んでいきました。

今まで、どれほどブレーキで悩んだことか…を考えると神経質に成らざる負えませんでした。


そして エア抜きをします。
一人でエア抜きする時 左側のキャリパーはFブレーキレバーから遠いのですが
キャリパーのブリーダーボルトに メガネレンチをセットし
ブリーダー口に 透明シリコンチューブをしっかりとはめ込みます。
シリコンチューブの先は周辺が汚れないように空き缶にでも差し込みます。
右側の手で フロントブレーキレバーを握り ステアリングの隙間から
ブリーダー口にはめ込んだシリコンチューブが見える体勢をつくり メガネレンチを左側の手に握り
バイクを上から抱え込むような姿勢をとります。
ブリーダーボルトは締めた状態のまま
ゆっくりとFブレーキレバーを何度が引き ブリーダーボルトを緩めます。
レバーを引き終えたと同時にブリーダーボルトを締める
透明のシリコンチューブの中をエア混じりのフリュードが通過していくのが見えますので
エアの混入が見えなくなるまで この作業を繰り返します。
出来れば 100kmほど試走し 再度エア抜きをした方が良いと思います。

フロントメンテナンススタンドから前輪を下ろした時点で
フロンフォークがスムーズ動くかどうか 何度か押して確認後
クランプボルトを締め

マスターシリンダーにダイヤフラム 抑え 蓋を装着し
付着したブレーキフリュードを水で流して 完了。

フニャフニャタッチのブレーキタッチが 激変しました。
当然ですが、レバーの遊びも解消され その後少し試走したのですが問題無しです。
(ディスクローター変えたのだから 当たり前ですけどね…)
ま、推測通りです。

今回 一人で じっくり考えながらの作業だったのですが、
思った通りになったので とても 良い気持ちでした。

しかし 今までのブレーキタッチに何年も耐えてきたせいか
それに慣れきってしまい 
少し 私自身を 新たなブレーキのタッチに慣らさないといけないようです。

また、今回新品ブレーキパッドは 間に合わせ的に
(注文が間に合わず 近くのバイク用品店に駆け込みました)
少し、耐えれば良かったのですが、試走の誘惑には勝てず、
デイトナのゴールデンパッドを使用してしまいました。
純正を注文すれば良かったような気がします。
この ゴールデンパッドが悪いという訳ではないのですが…私は好きではありません。
ブレーキのタッチが良い分 ジワーとした効き方に感じます。
おそらく、純正ブレーキパッドに交換すると思います。

ちなみに 純正のブレーキパッドは どこが製造しているのか分かりませんが、
効き 感度 ライフ とも かなり良かったと思っています。
そして、形成もしっかりしています。
(社外品は微妙に寸法や形成に違和感を感じます。)

競技などでバイクを使用するのであれば ディスクローターに対しての
攻撃性やライフなどと引き換えに 社外パッドを使用しても良いと思いますが
私は純正で十分です。

ローターの当たりが出るまで 少し様子見です。…。

ローター交換するまでのブレーキメンテ試行錯誤